高田清太郎ブログ

優勝以上の戦いであった



エッセイ

アンビリーバブル:メイクドラマ:グレートサプライズ:優勝以上の良い戦いであった。
第91回全国高校野球選手権大会が終了した。梅雨季が長引き何度も中断するゲームあり、インフルエンザでメンバーが変わるチームありで、波乱万丈となった。
優勝決定戦は8月24日〔月〕13:00開始であった。
愛知県代表として43年ぶり7回目の優勝を狙う中京大中京高校と新潟県代表として初めて4強に勝ち進むことが出来た日本文理高校との対戦であった。全国4041校の天王山を決める戦いである。
大変な激戦の末、優勝は愛知県の中京大中京高校に軍配が上がる。10対9である。
惜しくも優勝を逃した日本文理高校であるが10対4で迎えた最終回9回表の打線の炸裂には目を見張るものがあった。
しかも、2アウトからの連続打点であった。5点を返し、尚三塁・一塁に走者を置いての息を呑む投球は、強烈なサードライナーで終了した。オー・マイ・ガッド・グレートサプライズ!こんなことってあるのだろうか?新潟野球を見せると言っていた監督・選手達の想いが形となって現れた。一球一球に込める投手の入魂・迎え撃つ打者の闘魂。野球は9回の2アウトからと言うがまさにその言葉を目の当たりにしてみた。6点差で迎えた9回2アウト:手に汗を握るとはこのこと。誰も予想だにしなかった展開であった。
今、折りしもNHK大河ドラマで放映されている天地人:越後の知将、直江兼続が脚光を浴びている。直江兼続役の妻夫木聡氏から寄せられたメッセージは「日本文理の戦いは粘り強く、最後まで諦めない上杉の精神が今でも受け継がれている。」というものであった。9回2アウトで6点の差があれば誰でも勝敗は明らかであった。しかし、1点差になった時には守る中京側ナイン・監督の動揺はいかばかりであっただろう。焦る投手の顔にも共感せざるを得なかった。
一方攻める日本文理側には、9回2アウトを意識させない落ち着いた攻撃で1点・また1点と点を加えていった。
しかし、もし最後の強烈なサードライナーが取られなかったら!と考えると単純な喜びでもなく何故か不思議に心が戸惑ってしまう。あまりにも凄まじい激闘のプロセスの前に結果が如何にちゃちに見えて来たのは私だけであったろうか?
3アウト試合終了で、涙の顔は優勝したチーム中京大中京ナインであり、準優勝の日本文理ナインは満面の笑顔であったことからも証明された。「優勝以上の戦い」であった。誰もが感じ、誰もが口にした言葉でもある。同時に優勝したら使えない言葉でもある。メイクドラマは、優勝だけではないことを見せ付けてくれた。
おめでとう。両軍よ。

チーム名 1 2 3 4 5 6 7 8 9
日本文理 0 1 1 0 0 0 1 1 5 9
中京大中京 2 0 0 0 0 6 2 0 x 10