高田清太郎ブログ

NO.12 「ネーミング」・・・・とっても楽しい空間に



エッセイ

赤ちゃんが生まれるとき、家族一同はとても緊張と感動を覚えます。最初に母子ともに健康でありますように祈願致します。そしてニ週間以内に役所に名前を届けなければならない義務を負うのです。「名は体を表す」とも言います。故に、命名にはエネルギーが費やされます。
住まい造りをするときに、わが家にネーミングをつけると、とても楽しい空間ができあがる場合があります。わが家だけの個性ある家探しをしておられたSさん にお会いしたのは、今から十三年も前になります。規格住宅では満足できないSさん家族の思いはとても大きなものでした。打ち合わせの回数も限りなく続き、 お互いに大変なエネルギーを使った印象は今でも忘れられません。Sさんの四人の男の子(小学四年の長男から二歳の四男まで)は活発でにぎやかです。その子 供たちのエネルギーを十分に受けてくれる住まい、社会に出ていったときに自分たちを育ててくれたという誇りのもてるような、メモリアルハウスを希望されて いました。家族内では、皆に動物の愛称がついていました。

また、ピアノやバイオリンなどの楽器はどの子も中学三年まで家庭内必修科目にしていられるとのことでした。動物と音楽…ピッタリのネーミングが出来 上がりました「ブレーメンの音楽隊の家」。ブレーメン村の動物たち(ロバ、犬、猫、オンドリ)が力を合わせて泥棒を追い出したお話です。後はこのネーミン グをもとに形作ることになりました。高床車庫をベースにして各部屋をスキップさせていますが、これはブレーメンの音楽隊の動物の重なったイメージからの発 想です。アプローチのシンボリックゲート、玄関土間の小川、通し柱の樹林、月夜の和室、つり橋調の廊下など楽しさがいっぱいです。各部屋はオープンなの で、一人でいるときはラジオのボリュームを上げるが、複数になったら下げて家族を思いやるなど、社会的な教育が日常的にできてよかったと喜ばれました。
「住まいは単なる財産価値としてではなく、家族とともに齡を重ね、思う存分メモリーを残す所」とは、Sさんの奥様の言葉です。通し柱に、子供達一人ひとり の背くらべメモリーを刻み、やがて巣立って行く子どもたちがときどき羽を休めるために帰り、安らぐ居場所。家は子どもにとって、ベースキャンプみたいな所 かもしれません。
今彼らは社会人として活躍している長男から高校生の四男。Sさんから最近聞いたのですが、ただ変わったことといえばネーミングが音楽隊から「泥んこサッカー集団」になったということです。