高田清太郎ブログ

コンペティッション!建築設計コンペ!社内コンペと日本建築学会コンペ!建築学会北陸建築文化賞の審査を終えて



エッセイ

弊社では社内啓蒙活動の一環として、四カ月に一回・年三回の社内勉強会がある。
以前は偶数月の第一土曜日の午後を利用しての会であった(偶月一土会と呼ばれた)が、二カ月に一度となると年六回である。様々な会議・ミーティング・セッションと重なり大変な頻度になってしまったので今では年三回の開催である。
又、土曜日は営業活動と重なり全員集合は難しい環境になった関係もあり中日である水曜日に開催されることになった。年三・一水会である。
更に、四月は新年度の出発でもあり新入社員入社式の季節でもある。新入社員歓迎会と重ねて開催されることになった。今年は四月八日(金)であった。
四月・八月・十二月と順番に回ってくる担当チームが提案する勉強会を実行している。特徴のある啓蒙活動であるが四月は社内コンペティッションである。一年間通してやってきた建築活動を発表するのである。基本的にはチーム単位での発表になる。営業・設計・工務が連名で規定のキャンバスに図面・写真等をコンセプトと一緒に掲載するのである。
勿論、発表用に使うそのパネル自体もプレゼンテーションとしても評価対象になるのであるからそのデザイン性も求められる。
日々やっている建築行為であるが、改めて一年間を振り返ってプレゼしてみると過不足する部分が浮き上がっても来るのであるから自他ともに勉強になり次のステップアップになることは間違いない。
発表部門は二部門になっており、まず一つはコンセプト部門である。一建築・一町づくりを通して考え方をしっかりとまとめて形化したことを発表する:物語部門である。もう一つはセクション部門で居間・キッチン・ダイニング・畳の間・書斎・子供室・水回り・玄関などなどの部位に外観部門を付け加えての発表会である。
審査委員は基本的には高田グループ全社員である。勿論、選ばれた審査委員としては役員評価点は高くなるが。単なる人気投票にならないように、しっかりと話し合い評価がされる必要がある。

私も日本建築学会の建築活動審査部会委員(北陸支部会)として参加して今年で通算三期六年目である。
主な審査の一つは:作品選集:その年の日本全国から応募された作品の中から百作品を選んで表彰するものである。私が所属する北陸支部会は北陸五県内(福井・石川・富山・長野・新潟)で建築された作品応募の中から数点を挙げて全国の選集に推薦するのである。そしてその頂点がその年の日本建築学会賞として表彰されるのである。建築における日本版アカデミー賞であり大変名誉ある賞である。だから審査員の審査にも必然的に熱が加わるのである。
選考基準は
① 計画・構造・環境・設備及び材料・工法技術に関する設計の論理性
② 社会性・歴史性・文化性から見た地域環境への適合性
③ 外部空間・内部空間の両面における造形
④ 設計全般にわたってのオリジナリティー
⑤ 地球環境保全に対する配慮及び建築物のライフサイクルに対する取り組み・・・・である。
また、二つ目は北陸建築文化賞と言われる賞である。こちらの選考基準は「北陸・信越地方の建築文化の発展に対して、特に顕著な貢献が認められる業績または建築作品を称えることにより、地域の建築文化の振興に寄与しようとするものである。業績と作品を部門に分けて公募するものである」弊社も2004年にメディカルパーク”ミトロの森“で受賞させていたことがある。文化賞と言われるだけにこちらも嬉しい賞である。
そして、三つ目の審査は純粋な設計競技である。与えられたテーマに対して実在する場所を設定して図面化していくのである。(2011年度課題は“時を編む建築”であり審査委員長は建築家:槇文彦先生である。)
前二つのコンペは実際に建築された物件の審査であるから、書類上の審査と現地審査が要求されている。所謂、一次審査と二次審査である。
第一次審査:書類上の審査ではプレゼンテーション能力が大きなアッピール力になる。
第二次審査では現地現物現実が評価される。天候にも左右されるかもしれない。自然の中での創造行為だから審査日の天候を特殊環境と考えない。稀なる天候でもそれが現地環境であることからは免れないからである。まさに建築された土地の空気を確認するのである。ロケーションは現地でないと正確な評価ができない。目的作品に到達するまでのアプローチも重大なファクターとなることを免れない。
そしていつも思うことは、評価しようとする自分が作品から評価されているということである。評価する能力があるのか?と脅迫概念にも似た心境を覆すためにも必死になって何度も見直している自分を発見する。審査委員長1名と北陸5県から選出された5名の合計6名による審査委員で構成されている。ある年には審査委員がほぼ同じ作品を選んでいることがあり、不思議なくらいばらけていないときの審査時間は短いが、反対に審査委員の評価がばらけて点数が入ると議論を終息させるのにも時間がかかる。勿論このときのほうが私にとっては様々な意見が聞けて大変勉強になるのであるが。

話を戻して社内コンペの話であるが。
会場は新潟県建築士事務所協会の2004年作品コンペで優秀賞をいただいた橋設計事務所である。ストラクチュラルデザインされた建築だけにコンペ会場としては不足しない。
今回で一水会も第91回を迎える。社内コンペは1か月前から社員スタッフに周知されそれぞれの分野の準備に入る。
コンペは前述のように二部門からなっている。
① コンセプト部門が15作品(住宅11作品・一般4作品)
② セクション部門が5部門28作品
(玄関5件・くつろぎ空間5件・水まわり7件・アイデア7件・外観4件)
賞金も些少であるが用意されている。大いにアッピールプレゼしている顔は輝いて見える。
発表は新入社員共同作業作品の発表と会社全体としての企画部門の発表が付け加えられる。
新入社員の共同作業はその年に入った新卒者(今年は2名)と中途採用者(今年は3名)でテーマに挑戦する。今年のテーマは高田建築事務所重点課題である育夢創造から「育夢居場所」であった。この内容は実務をしているスタッフにとってはとても刺激的なものでもあったようである。
発表提案は宮内駅前から摂田屋醸造業の町までつながる県道沿いの「空地・空家・空部屋」を雁木空間を通していかに協奏させていくか?であった。一つに○坪畑や雁木二階を解放させた空間等のコミュニティー装置を作ることで地域力を再生していこうというものであった。
課題は継続して行くこと。町の住民と連携を取り町の活性化・再生化させていくこと。市民力として提案していこうとするものである。長丁場テーマとして予想されるが育むということ自体が時間との醸造でもあるから町の空気ともぴったりである。(継続こそ力なり)
企画課題は育夢創造+家具を推進しているものである。家具と言っても建築家具であり某地方テレビ局のホールに設置されるもので結構大型化しているプロジェクトの報告であった。コンセプトは長岡野菜である!形と色彩が長岡野菜!これも完成が楽しみである。
再度戻って、本体社内コンペは残りの4時間近くを使っての会になった。発表者側にも審査評価側にも心中はかなりの白熱戦であったと推察した。
今年からは評価者の名前を記入することにした。ここで選ばれた作品が各種一般コンペに推薦されていくからである。責任重大である。昨年の一位が新潟県建築士事務所協会の建築作品コンペの最優秀賞に選ばれている。「バナキュラーな家」は全国大会に推薦されているからである。

結果はコンセプト部門住宅部門では1位・2位・3位・社長賞・専務賞・常務賞が贈られた。
一般建築(住宅部門以外)からは一点が選ばれた。
そして、さらに部門賞は各部門から一点が選ばれた。
後日内容を紹介したいと思っているので乞うご期待である!

*社内建築設計コンペティッションを通して!切磋琢磨!啓蒙・啓発
 - Competition(競技・競争)=Compare(比較する)
– Com=共に!・Pare=(ナイフで果物・野菜などの)皮をむく(=peel), むく, (不ぞろいな部分などを)切り(削り)取る, (つめを)切る・(予算などを)削る, 切り詰める, 削減
– 私達の職分!建築を通して喜び創造・感動創造・育夢創造を追及する事
– 喜!祈!感謝!

  

会場はキールを持つ登梁構造空間

壁面には参加作品が並べられている  新入社員の共同制作の発表である

  

各自担当が発表するT君は雁木上の空間を開放するスペースに!Hさんは空地に畑を!K君は空き家の活用を!

 

発表時間は4分質問時間は3分!   確りと発表したのちに厳しい質問も?

       

担当課長から表彰式の発表     今年一位のグループの賞金は? 白熱コンペの後の一杯は美味しい!