高田清太郎ブログ

天気の日には傘を貸すが雨の日に傘を貸さない!?雨傘?日傘?



エッセイ
すまいは巣舞
巣は形・舞は想い
想いを形に
巣舞るフォー・ユー
高田建築事務所 

(株)某銀行の平成25年3月期決算説明会参加して*    作家である池井戸潤氏の二冊の小説が七月からテレビで連続ドラマ放映されている。
・   一つは NHKで放映されている「7つの会議」である。またもう一つは民放で流されている「半沢直樹(原作:おれたち花のバブル組)」である。
・    どちらも主人公は現役バリバリの営業マンとバンカーマンである。
・    利益確保の為に品質(七つの会議ではネジの許容応力度)を落としても原価ダウンを図るがそのつけがやって来る。その後始末の物語である。
・    また、半沢直樹は上司の罠にはまり融資先の粉飾決算を見抜けず(正確には検証する時間が与えられていないまま)貸付金5億円を融資するが、その融資先がその直後に倒産してしまう。不良債権を回収する銀行絡みのドラマである。
・    元々、池井戸氏は慶応大学を卒業後三菱銀行に入社しているバンカー上がりなのである。どの作品も融資先を通して銀行の内側から銀行の抱える問題をあばいている、ど迫力を感じるのである。
・    私も書棚を見ると池井戸氏の作品を10冊以上読んでいたことに気が付く。そう、何気ないファンの一人であったのである。
・    「不祥事」「銀行狐」「下町ロケット(直木賞受賞作品)」「かばん屋の相続」「仇敵」「オレたち花のバブル組」「銀行総務特命」「株価暴落」「ルーズベルトゲーム」「七つの会議」・・・どの小説も読み出したらどんどん引き込まれて行って止めることのできない作品である。
・    「七つの会議」の主人公役は東山紀之。「半沢直樹」の主人公役は堺雅人である。
・    閑話休題:ドラマの役者さんやストーリーを話すことは自分の得意とすることでは無い。
・    ドラマの中でも言っていたが銀行を一口で言い表すと「天気の日には傘を貸すが雨の日に傘を取り上げる!」と倒産会社の社長の弁はとても分かりやすくあるだけでなく多くの人々に共感を呼ぶに違いない。同時に倒産原因が銀行にあり、まるで自分には非が全くなく銀行側が悪いと言わんばかりである。
・    銀行には血も涙もないと一刀両断に切り捨て台詞である。
・    確かにそのような部分もあるが決して全部が全部ではないことを現実的にも経験している。
・    決算書はその会社継続の大切なバロメーターでもあることに間違いはない。しかし、それ以上に経営者の人間性や会社員の姿勢・仕事の将来性を確りと見つめてくれていることも事実である。そんな意味で池井戸氏の小説の骨子は上司たちの命令一辺倒ではなく主人公たちの正義感で銀行の意味を問いただしている事でもあった。

*    折しも某地方銀行の決算説明会に五月に出席したときの話をお伝えしたいと思う。
・    毎年のことであるが某銀行の決算報告会は頭取自らがプロジェクターを使用して説明される。そして毎年のことであるが主要時間はきちんと28分である。後に聞くと30分経つと長いと感じるとのことであるらしい。(してみると自分の話は長すぎるようにも思える。ブログも長すぎると言われる。反省しきりである)
・    グラフを使った説明はとても分かり易くプロジェクターに説明を添えられると一層理解度が増したような気がする。とても勉強になる。
・    6年前からの報告スタイルであるらしい。当社でもこのフォーマットを一部まねし発表させて頂いている。
・    話の構成は以下の様である。
1.    経営環境について:(発表当時)
①    貿易赤字の拡大:原発ストップに伴いLNG(液化天然ガス)の輸入増加や輸出の減少により、貿易収支の赤字幅が拡大
②    デフレの継続:消費者物価指数(生鮮食品を除く総合)は、10年越しのマイナス基調
③    消費税引き上げ問題:2014年4月に8%・2015年10月には10%へと引き上げられる。駆け込み需要の反動減も懸念
2.    利益について:
3.    不良債権の状況(1)不良債権比率 (2)不良債権処理 (3)保全の状況について:
4.    預金・預り資産の推移について:
5.    取引基盤の状況推移について:
6.    貸出金の推移について:
7.    市場運用について:
8.    経営のスリム化について:
9.    自己資本比率について:
10.    業績予想について:
11.    そして最後は「御礼ご挨拶」で締められる。丁度28分である。

・    ・・・・一通りの説明が終わると司会から質問コーナーが用意されている。
・    しばらくの間、誰からも挙手がなかったが、やがて静まり返った部屋の天井に向かってスーっと一人の参加業社経営者から手が上がった。
・    「質問ではないのですが、と前置きして、実はこの度、私どもの会社が窮地に陥りました。多くの取引銀行は水が退くように去って行ったのですが、当銀行さんだけが弊社を最後まで見捨てず支援して下さいました。心から感謝しております。今後とも地元の地場の銀行としてこれからも力強いご支援を宜しくお願い申し上げます。と御礼とお願いをされた。

・    すると、空かさず頭取から、「とんでもございません。全く逆です。私どもが15年前に複数の大型倒産にひっかかり大変な負債・大赤字を出した時に取引頂いている皆様から、“御行は大丈夫か?と心配して頂き、さらに激励されました。そして今日があるのです。皆様に感謝しなければならないのは私どもです。」と応えられた。
・    間・髪を入れない頭取のこの返答に出席者の誰もが固唾を呑んだ。とても感動的なシーンであった。
・    常に上から目線ではなく目を低くして視点を合わせて頂いている頭取ならではの反応だったと思った。人は普段から考えていることが即座に行動となって現れることは事実であった。
・    傘は雨の日にだけ必要なのでない。降ってからだけ必要なのでもない。降っていない時にも確りと備えなければならないことを教えて頂いた次第である。
・・・・・雨傘もあれば日傘もある。OOの傘の下?もある。

・    頭取からの報告で以前の感動物語を思い出す。
①    株価が下がり簿価上の価格では正しい決算報告にならないから金融庁は簿価の50%を切ったらその切った分を損金として上げなさいと言う指導が以前から行われていた。(減損会計)
・    頭取は50%では無く30%切ったのも損金として上げた。当然赤字幅が多くなることは避けられない。
・    一般的には自分がトップの時には出来るだけ良い成績を出して終わりたいものと聞かされていた中での出来事である。
・    しかし、一旦膿を出しておけば次代にはより良き経営が出来るではないか?が趣旨である。
・    従って今期は最高の利益を出されたと聞いた。

・    池井戸潤氏の小説を読みながら現実を重ねてみて思った。「事実は小説より奇なり」と!


透明雨傘

朝顔は部屋の日傘・グリーンカーテン

様々な経営環境の変遷波

大雨になれば軒樋では間に合わない!

今年はとてもすくすく成長しているグリーンカーテン!新入社員の聖子さんの愛情作品!

桐の葉が窓の外に大きく広がっている!グリーンアンブレラは涼みを作ってくれる!