高田清太郎ブログ

第94回:一努会



建築/巣舞.間知.趣舞

社内作品コンペ20120406(金)第94回一努会が開催された。

・ 一努会と言うのは弊社社員啓蒙活動の一つである。年に3回開催される。4月と8月と12月である。最初は土曜日開催だから一土会と呼んでみたり水曜日開催になったから一水会と呼んでみたりしたが、とても重要な活動なので改めて改名する運びとなった。

・ 一つ一つの研究・努力・挑戦の積み重ねがやがて大きな成果を残すのであるから「一努会!」と改名することになった。良い響きではないか!「社聴熟」と言い名は体を表す!

・ 4月は新年度の最初の会である。この時の課題・テーマは「社内コンペ」である。一年間かけて造らせて頂いた建築作品の競技会である。営業・設計・コーディネーター・工務と担当したスタッフが合同で提出参加である。発表時間は4分:質問は2分:社長コメントは1分と言う際どい時間での発表会である。全作品発表後に全社員が得点を付ける。1~5段階得点である。それを集計して発表となる。

・ プレゼンテーションシートは統一される。迫真迫る提出者のプレゼに全社員採点者が両耳を大きく立て、両目を確りと見開き採点して行く。
・ 私にとっては一年で一番楽しい活動のひとつである。
・ 競技はコンセプト部門とセクション部門の二部門で開催される。

・ 今年のコンセプト部門の参加作品は趣味を生かし、趣味を空間に反映した巣舞づくりの発表がダントツに多かった。弊社の経営理念である個性ある巣舞づくりの真骨頂である。

・ 又上位入賞作品に共通しているもう一つは立地条件として景観環境に恵まれた土地に建築されていたことである。海・河口・山・竹林など等である。如何に建築が立地条件に左右されるかを今更ながらに垣間見た思いがする。

・ 一位はエントリー№3の「厩のある家」であった。車をかつての馬に見立てて駐車スペースを厩と考えて住居本体と雁木等で繋ぎそのバランスはとても気持ちのいいものであった。ハーレーダビッドソンの格納庫も一段セットバックさせて仔馬小屋に見立てている。雪国では青空車庫は歓迎されないが、カーポート対応・ビルトインとスタイルは様々である。

しかしこの案は車庫をゲートに見立ててその裏をアプローチアクセスとしている。透過と遮断を繰り返しながらリズム感を取っている。敷地全体をレイアウトしており内と外の相互貫入を上手く配置していてこの地域の景観創造に寄与している。

・ 第二位はエントリー№12の「Jet Stream:ミスターロンリーの家」であった。信濃川の河口・左岸に敷地があり、川越しに遠望できる右岸の景色を一気に我が物とするたくらみがデザインにそのまま取り入れられていた。景観の焦点は何と言っても船をデザインしたコンベンションホールの朱鷺メッセである。ミスターロンリーの家は3階建てである。狭い階段を上り二階のキッチン越えに見える大窓から飛び込んでくる景色は正に絶景かなである。同じく狭い階段と通路を抜けて3階で振り返るとゆったりと流れる信濃川の川面に浮かぶ朱鷺メッセと右岸の景色は100万ドルの夜景を楽しませてくれる。ネーミングは最初の打ち合わせの時に流れていたJET STREAMはミスターロンリー!来訪者はこの曲を聴きながら空を舞う鳥になったような錯覚に襲われることだろう。

・ 第三位はエントリー№13の「竹林がいやす家」であった。敷地は田上町である。五泉に通じる国道沿いのなだらかな丘陵地である。畑地の一区画である。道路を挟んで竹林が繁茂している。リビングの開口部を全部その竹林に向かわせ思いっきり借景とした小気味よい案である。関東で自営業をしている建築主は定年と共に故郷に帰ってくる準備をしたのである。当分は別荘的に使うそんな思いもあったことから非日常的な空間が作り込まれた。特に入口玄関戸を開けて中に入ると長いアール土間空間が日常と非日常空間を繋ぐアジャスター的な役割を持ってくれている。ここはギャラリーとしても楽しめる空間でもある。室内空間も登り垂木の構造デザインとして取り入れていることで何とも言えない力の流れが作るリズム感で心の高揚感を生み出している。

・ コンセプト部門ではその他にも秀作が沢山ある。社員全員(営業・設計・コーディネーター・工務・総務・大工・工場関係者全員)が厳選する責任を少々気負った楽しいひと時であった。

・ 春仕事が忙しいことを良いことに提出されなかった作品も沢山あったのは少々残念であった。来年の参加はもっと多くの方に期待したいのである。又できれば築縁様(建築主様)からの推薦文が頂けるともっと点数評価する仕組みも必要となるだろう。

・ セクション部門では①玄関・廊下・階段②くつろぎ(LDK)③水まわり④リフォーム⑤外観部門で競われた。全43点が参加した。こちらも楽しい空間を如何に作り込んでいくかを真正面から取り組んだ作品群であった。


一位は「厩のある家」

二位は「ミスターロンリーの家」


三位は「竹林がいやす家」


発表者は五分以内でプレゼを終了


高田建築事務所「ギャラリー青山」にて!