高田清太郎ブログ

一笑にふされた三笑主義? それでも三笑主義を目指して!



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* エッ?三笑主義が空念仏?一笑にふされた三笑主義(さんしょうしゅぎ)

*近江商人の経営理念に「三方よし」がある。
これは、「売手よし、買手よし、世間によし」のことを言い表したものである。
商売を行うからには買い手から喜んでいただかなければならない。
売り手も見合った利益を上げなければならない。税金を支払い社会の一員として義務を果たさなければならない。
そして残った利益は決して余ったお金ではない。経営を継続する継続経費であり投資資金でもある。
その為にはお客様から満足して喜んでいただかなければならない。売り手も、買い手も両方が喜んでいなければならない。であるから「売り手よし、買い手よし」である。経済も健全に回り、その商品を通しても社会貢献するものであれば「世間もよし」である。これで「三方よし」が実現するのである。・*私たちの長い間唱えていた「三笑主義」はまさにこれと同じ構図である。
巣舞づくりは確かな価値を作り上げていくことである。だから建築主(当社では築縁様と呼ぶ)さまはとても大切な存在である。建築行為がここから始まるからだ。そして、建築主様の想いを形化するための存在である設計・建設元請もとても重責を負うことになる。更に現場で実際に手がける職人さんも同様に大切な立ち位置にいることになる。
この様に巣舞づくりは三者が共に共同して作り上げていくことである。夫々が巣舞づくりの夢実現の為に心を尽くして知恵と力と汗を出していかなければならない。完成した時の満足感には何物にも替え難いものがある。何時になく爽やかな笑顔が生まれてくるからである。
私達はこれを三者が笑うから三笑主義と呼んでいる。繰り返すが、「三笑主義」と称して、築縁様(建築主様)・木族の会協力会社(職人さん)・そして弊社高田建築事務所(スタッフ)との三者が笑える関係を作って行こうとしたものである。とかくどこか一人が笑い二者が泣いたり、或いは二人が笑うがひとりが悲しむ関係ではいけない。そして三者が泣きを見るのは最も悲劇である。みんなが笑う、喜びを共有・享受することこそ仕事をさせて頂いているもの達の喜びである。
このことをモットーに仕事の励みとしているのである。勿論夫々は自分の能力を最大限に発揮してのステージであり、決していい加減な甘えのステージの話ではない。
しかし、ミスが発生したり食い違いが重なると築縁様を悲しませることになる。勿論、そのミスはスピーディーに修正しなければならないのであるが、ものの修正とは違って心の人間関係の修復はそう簡単ではない。
一度ひびが入ったり割れてしまった関係はその修復にはとてもエネルギーがかかり元に戻らないこともまれにある。
そうならないように常日頃は自ら専門知識をしっかりと学び一般倫理の上にそれらを構築して行く必要がある。
巣舞づくりはその家族の皆様にとってはとても大切な「居場所探しの旅」そのものであるからだ。

*建築主であられるA様の奥様のご実家から呼び出しがあった。あと一週間と言うお引き渡し寸前であった。
設計上の食い違いがいくつかあり、工事中に説明が不十分であるとのことであった。母親にしてみれば大切な娘のすまいづくりにいい加減な対応がされたと娘さんからの報告に対して強烈な援護射撃であった。娘さんに対して説明がないではないかと言われた申し出には、設計スタッフから丁寧に打ち合わせ記録簿を開示させていただき説明時の記録と確認署名を頂いた書類を提出することが出来た。(もしかすると、説明はあったことはあったが理解しずらいものであったのかもしれないと反省も必要)
いずれにせよ建築主本人でない親御さんからの、建築の内容もほとんど知ることもない中でのことであった。
また、坪単価が高いと言うのである。自分たちの大工さんに聞いたらグーンと安い。(図面もないのに何が基準かわからないが)坪単価は30万円~40万円くらいだという。いったいどの様な図面と仕様なのかも何にも提示はないままに某業者価格を基準にするのは如何なものだろうか?
弊社においでの建築主様はとても個性豊かな人たちが多いのである。図面も全く違い仕様も全く違う。違って当たり前なのである。
金太郎飴坪単価は個性ある建築主様の巣舞づくりを最初から無視しているといっても過言ではないと考えているのは私だけだろうか?
また、建築が終わると最初の坪単価が大きく跳ね上がっている調査書も届いている。住宅業界紙のホームビルダー紙がTハウスメーカーで建築した方々の追跡調査をした報告書である。最初は35万円がうたい文句で始まるが完成時には50万円・60万円・なんと80万円にもなっているという報告書である。(これはこれでうなずける。何故かといえば建築を始めた初期段階から仕様が上がってきたり空間が変われば建築費に跳ね返るからである)
そしてほとんどの方は「建築工事が始まってからは引き返せないからだ」と小さなコメントがあった。
言いたいことは坪単価は初めにあるのではない。設計によって変わってくるということである。

数週間前に某(I)地域ビルダーが地方新聞・新潟日報にて新聞広告を出した。何でI社の建築費の坪単価が安いのか?それは、現場状況分析をした結果:一般の職人さんが実働仕事の40%しかしていない。考えている時間。打ち合わせしている時間が多すぎるからだと断言していた。
そもそも図面も仕様も見ない段階で当社は坪いくら?と標榜する会社の如何に多いことか?規格住宅ではいざ知らず、個性ある巣舞づくりでは現実的にありえないことである。それは建設会社の思いを達成する建築であればそれはそれで頷かれるが、個性ある巣舞づくりをされる巣舞人さまの想いを大切にするのであれば坪単価はどこまで何を含めているかが積み重ねられ合計された金額を面積で割り返して初めて結果として坪単価が出ることになるのであるが。

安さを標榜する会社のことで伝え聞くと二軒で一軒分の発注をするからだと言う。横暴ではないか?「巣舞づくりは信頼と尊敬から生まれてくる!」ものであるのに。まるでバナナのたたき売りであるかのように。

そのことを話すと一笑された。三笑主義が一笑されたのである。
その後、三者がフィフティー・フィフティーの理論の元問題は収束の方向に向かった。
住まわれて数週間、訪問したスタッフから笑顔をたくさん下さったと報告があった。それが何よりもうれしい報告であった。(本音の話を心を割って話し合った結果ではと一人勝手に思い込んでいる自分が楽しい?)
巣舞づくりが始まったばかりのお引き渡し後:これからがスタートサービス(建設業者側からはアフターサービスというが巣舞人さまの立場からは巣舞スタートであるから)でこれからも長い付き合いをお願いしたのである。

一笑にふされたけれど、それでも三者の価値を落とさないように三笑主義を大切にして邁進して行きたいと念ずる次第である。