高田清太郎ブログ

前川橋〔まえかわはし〕 「田舎のバスはおんぼろ車・・・・デコボコみちをガタゴト走る」



エッセイ

すまいは巣舞
巣は形・舞は想い
想いを形に
巣舞るフォー・ユー
高田建築事務所

*    前川橋はそのまんま「まえかわはし」と読む。何時の時代から架かっていたのだろう。
・    摂田屋にかかっている橋なのに前川橋である。今にして思えば不思議であったろうが、前川町に行くにはこの道を通らなければ行けなかったからである。
・    この橋の上に来ると今でも時々懐かしい歌声が聞こえてくる。
・    「田舎のバスはおんぼろ車・・・・デコボコみちをガタゴト走る」の“田舎のバス”である。
・    時は昭和30年代である。盆と正月にお袋の実家に帰るのである。弟をおんぶして私の手をとってバスに乗るお袋もまだ20代だった。盆暮れしか休みの無い戦後日本の時代であった。実家に帰えるお袋のわくわくした心持は小さい私の肌にも確りと伝わってきたのを思い出す。昨年お袋が見えなくなってから本当にしみじみと懐かしい。
・    狭い道を鼻の長いバスに揺られて出かける。太田川にかかる橋は確か木橋〔?だった様に記憶している〕
・    道は狭いので車の行き違いは出来ない。所々に設けられていた車待ちスペースでのやりくりであったようだ。勿論それほど車の多く無い時代でもあったが。
・    大雪になればバスなど通れない。昔に帰って歩きである。
・    当然、道路の仕上げも砂利道でありアスファルトなどとんでもない。車が通るたびに砂煙もうもうである。
・    1月15日は小正月:おふくろの連れられていった前島の実家では同年代の従兄弟が沢山集まっていた。
・    あれから60年くらいの年月が流れ去った。
・    今でこそ車社会が普通で当たり前が60年前は車などめったに乗れない。
・    物〔時に人も〕を運搬するのはリアカーであった。エンジンは前が舵を取り引っ張り駆動人+そして後ろが押す駆動人である。
・    スピードが緩慢であり現代と比較すると海山の違いほどの穏やかであったのだ。
・    今朝の散歩で前川橋の上で歌声が頭の中で響き渡っていた。オーノスタルジー!

1.
田舎のバスは おんぼろ車(ぐるま)
タイヤはつぎだらけ 窓は閉まらない
それでもお客さん 我慢をしているよ
それは私が 美人だから
田舎のバスは おんぼろ車
デコボコ道を ガタゴト走る

2.
田舎のバスは 牛が邪魔っけ
どかさにゃ通らない 細い道
急ぎのお客さん ブーブー言ってるが
それは私の せいじゃない
田舎のバスは おんぼろ車
デコボコ道を ガタゴト走る

3.
田舎のバスは 便利なバスよ
どこでも乗せる どこでもおろす
たのまれものも とどけるものも
みんな私が してあげる
田舎のバスは おんぼろ車
デコボコ道を ガタゴト走る

4.
田舎のバスは のんきなバスよ
タイヤはパンク エンジン動かない
そのときゃ馬に ひかせて走る
それは私の アイデアよ
田舎のバスは おんぼろ車
デコボコ道を ガタゴト走る

(作詞・作曲 三木鶏郎)

*    前川橋の架かる太田川の左岸土手で今年も摂田屋5丁目の賽の神行事が行われた。昔は夜空を赤く染める賽の神であったが、深夜まで火の管理をしなければならないから昼の行事に変わった。確か14:00に点火のようである。
・    昼間になった分大勢の人たちが集まったようである。
・    こちらも確りと次世代に伝承されているのは楽しくもありぼのぼのとした空気である。
・    その横道を私たちを乗せたバスが通る:田舎のバスはおんぼろ車・・・デコボコ道をガタゴト走る