高田清太郎ブログ

秋山孝の神秘「メタファー」展



イベント

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高田建築事務所

秋山孝の神秘「メタファー」展 7月11日(土)より開催(案内書より)
*    秋 山孝の神秘展は、秋山のポスター作品表現の秘密を解き明かすことを目的にしているシリーズ第1回目の展覧会です。
・    タイトルは「メタファー」です。メタ ファーは表現者にとって最も重要なキーワードです。
・    このメタファーを操ることが秋山の表現の魅力となっています。
・    一般的にはメタファーは言語において使われる修辞技法のひとつとされ比喩の一種ですが、それだけでなく隠喩や暗喩とも言われています。
・    古代ギリシャのプラトンが「国家」のなかで「太陽の比喩」 「線分の比喩」「洞窟の比喩」などメタファーを使って語っています。
・    はじめてメタファーの意義を言及したのはアリストテレスです。彼は「詩学」のなかで 「もっとも偉大なのはメタファーの達人である。通常の言葉はすでに知っていることしか伝えない。我々が新鮮な何かを得るとすれば、メタファーによってであ る。」と述べています。
・    一時期、近代の言語学や論理学ではメタファーを周辺的な現象として批判的に見ることもありました。しかし、近年ではメタファーは単なる言語の要素ではなく、人間の認知と存在の根幹に関わるエレメントだと認識されています。
・    秋山は言葉で説明するとシラケてしまうような表現を極力避けています。「言わない」あるいは「描かない」で暗示させる力を生かしている点です。これらは今回の告知ポスター作品にも随所にみられます。描かれているイラストレーションは、愛犬「ゴマ」ですが、はっきりと細部を説明するような描写ではありません。うつむき加減で何を考えているのだろうか?それは、よくわかりません。ここがポイントです。すると口元に文字が現れます。読むと展覧会の題目と日程です。確かにゴマの声は聞こえませんが語りかけているようにも思え ます。背景は、オレンジとグリーンの配色です。芝生は説明されていませんが容易に理解できます。そのようなポスター作品から神秘的な「声なき声」が聞こえ てきます。

メタファーの世界は詩の世界・音楽の世界・アートの世界・建築の世界へとどんどん広がる。
・    秋山氏にとってのメタファーの世界で詩人にあこがれ挑戦した時期があったと。しかし、正にメタファーな世界ではとても勝てそうに無いと諦めた。残ったのは「言葉のスケッチ集」であったという。
・    目に見えない人ほど良く見える。
・    考えなさすぎの一言
・    言わない!描かない!
・    声なき声!など等、
・    松尾芭蕉の俳句・世阿弥の言葉にメタファーの原点を見る。
・    私にとっても「氷より艶なるものはなし」「せぬことは面白きや」は無抵抗に入ってくる言葉でもある。

*    喩えには直喩と隠喩がある。
・    “~のようだ”は直喩の代表だが隠喩・メタファーは隠された豊かな言語変換機と捉えてもよい。
・    たとえ話はより強烈に伝えようとするものを浮き立たせるものであるが、その喩えが却って理解の邪魔をすることも多々である。
・    特にアートの世界では唯我独尊でもある。しかし、ポスターは伝える為のツールの一つである。理解できなければ意味を成さないことも認めざるをえない。
・    「強烈に分かりにくく理解しやすくすること」自体がメタファーでもある。

*    マルコの福音書4章にはたとえを用いて話す理由が書かれている。
・    4:10 イエスがひとりになられたとき、十二人と一緒にイエスの周りにいた人たちとがたとえについて尋ねた。
・     4:11 そこで、イエスは言われた。「あなたがたには神の国の秘密が打ち明けられているが、外の人々には、すべてがたとえで示される。
・    4:12 それは、/『彼らが見るには見るが、認めず、/聞くには聞くが、理解できず、/こうして、立ち帰って赦されることがない』/ようになるためである。」

*    APM大学では秋山先生がゼミ学生にメタファー隠喩作品の説明をされる。
・    それはイエスが弟子達に「あなたがたには神の国の秘密が打ち明けられているが、外の人々には、すべてがたとえで示される。」に似ている。
・    是非とも会期中にAPMのドアを叩いて欲しい。