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NO.18 「雪国の風景①」・・・・独特の街並み、文化形成

2008.01.17

新潟県の「住まい造り」について書きなさいと言われて困ることの一つに、気候風土があります。日本海側で高温多湿・多雪型。積雪についていえば、四 十センチ (相川町)から四メートル(山間部)まで、なんと十倍もの差があります。それに対応する雪対策や工法があり、建築形態も少しずつ変わるのもうなずける次第 です。この気候風土のもとで独特の街並みや文化を形成してきたことを忘れてはなりません。世界中に点在するその独特の建築群が、訪れる人に多くの感動を与 えてくれるのと同じです。雪が雪国の風景を造ると言っても過言ではないでしょう。

豊富な雪解け水は田畑を潤し、日本一の穀倉地帯を作り上げたのです。四季折々にさまざまな風景がありますが、特に越後平野が、実った稲穂で黄金色の 大海原になる時はまさに絶景です。稲刈り後は、はさ木干しされ蔵に納められるのです。かつては至る所に蔵を見ることができました。しかし、機械化と分業化 が進み、はさ木や蔵は不用の長物になってしまいました。私も時代の流れに寂しさを覚えている者の一人です。長い時間をかけて必然的に現れてきた風景・豊か な空間を忘れたくないものです。そこで、シンボリックに「はさ木と蔵」のある風景の残像を孫の代にまで伝えようと住まい造りのお手伝いをさせていただきま した。
長岡市前川町のYさんは兼業農家です。東山を一望できる敷地は同時に前の川から「蔵のフォルム」をしっかりと見ることが出来ます。平面的には田の字形をし ており、農家住宅の典型的スタイルです。玄関ホールに入ると正面に斜め階段、吹き抜け天井にはピラミッドをかたどった照明。階段手すりの親柱にこぶしの木 を立て、鉄筋で横つなぎして、はさ木にみたてました。秋の収穫時には初穂を束ねて掛けると、家の中に甘い香りが立ち込めるのです。香りのメッセージは雪国 人のDNAに語りかけ、ノスタルジーの世界へと誘ってくれるのです。また、はさ木に掛けられた稲は、ピラミッドパワーでさらに生命力を増してくるかのよう でもあります。
いずれにしても建築は本来、環境と共生すべきものでありますから、風土的な存在であり、地方特性の文化を担い、その地にとけ込むべきなのでしょう。雪国人 の心の豊かさはまちがいなく雪にあったといってよろしいのです。しかし、この豊かな恵みも時と場合においては人命を奪ったりすることも忘れることはできま せん。次回からは屋根雪処理の方法から生まれてきたさまざまな建築についてお話しさせていただきたいと思います。

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