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NO.20 「雪国の風景③」・・・・自然滑落式の屋根登場

2008.01.31

私にとって最も印象に残っているのは、昭和三十八年のサンパチ豪雪です。休むことなく “しんしん”と降り続き、一晩ごとに一メートルずつ積もるかのようでした。すべての経済活動がストップし、子供達も楽しい正月返上で、ひたすら雪降ろしに駆り出されたのです。
現在と違い消雪設備がありませんので、狭い小路では積もった雪と屋根から下ろされた雪が、ついには電線まで届き、危険極まりなかったのです。雪下ろしでなく雪上げといわれ、雪上通路から下屋根に落ちる事故が発生しました。
このなると耐雪型にも限度があります。そこで自然滑落式の屋根が登場してまいります。屋根を急こう配にして雪をその重みで自然落下させ、雪荷重がない状態にしようというものですから構造的には非常にシンプルです。しかも基本的にはコストもかかりません。
しかし、滑落雪式にも問題はいくつかあるのです。一つに落下雪の処理です。屋根雪をまとめて落すにはそれ相応の雪を積み上げておくスペースが必要になりま す。市町村ごとに、屋根長さに係数をかけて空き地を取るように定めていますので、敷地の余裕が要求されます。二つ目には、落ちた雪を溶かす設備がない場 合、積み上げられた雪が一階の窓を覆ってしまい、時には居間が真っ暗になることもあるのです。このために高床式基礎(約1.8メートル)が認められるよう になったのは、採光対策上、非常に有効だったのです。副産物として、高床基礎は車庫スペースや収納庫を提供してくれることになり、狭い敷地の人たちにとっ てはまさに福音といったところです。
ところで、本県に多い「湿った雪」は一種の断熱材の役割も持っています。雪の結晶間に溶けた水がしみ込んでいる状態は、氷と水が共存しているので、積雪面 の温度は常に零度を保ち、保冷(温)材の役割を果たすことになります。屋根に雪を残すのはあながち短所ばかりではないのです。また構造的にしっかりした建 築が大前提ですが、屋根雪が地震の時に、地震力を減衰する制震作用がわずかですがあるとも報告されています。自然滑落式の屋根はそんなことにお構いなしに きれいに屋根雪を掃き取ってくれるのです。
このように屋根雪処理には絶対という方法はなく、一方を得ると他方がへこむといった一長一短があります。敷地、コストなどの諸条件を考慮し、優先順位を決め自分に一番あった方法を選択する必要があります。
今後も屋根雪処理は、さまざまな観点から考察が可能であり、新しい処理方法が生まれる可能性も大いに期待したいものです。

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