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NO.45 「雁木②」・・・・キーワードは「つなぐ」

2008.07.3

「内部空間と外部空間を『つなぐ』中間領域はとても豊かな空間である」と以前書かせていただきましたが、車道と家並みの間に設けられた歩道としての 機能を持つ雁木空間はまさにそんな空間なのです。近所の人たちの立ち話姿や椅子に座り道行く人たちに声をかけている老人たち、また商売をする人たちにとっ ては格好な店先空間でもありました。このように雁木は風雪をしのぐという機能を遥かに越えて変身をとげたのです。
家と家をつなぎ、コミュニケーションの場としてとても重要な役割を果たす雁木は、雪国人の知恵がつくった居場所空間です。キーワードは『つなぐ』と言ってよいかもしれません。

5年前長岡ニュータウンに建築されたHさんの敷地はL型道路の内コーナーに位置します。敷地全体をデザインすることからプランニングが始まりまし た。住宅本体は敷地のほぼ真ん中に配置して、南側には敷地いっぱいにデッキをつくりました。思いきりアウトドアをエンジョイしたいという希望からです。反 対の北側には車庫スペースを住宅部分と離して配置することになりました。住宅屋根が自然落雪式だからです。
この車庫スペースと住宅の玄関をつなぐ役目を現代版の雁木空間から担ってもらうことにしたのです。結果としてコーナーの部分に雁木空間が配置され、H邸は『町のコーナーリビングのある巣舞い』とネーミングされました。
単独の雁木ですが、半公共領域としての性格を有していることから見ても雁木空間の必要条件を満たしているといってよいでしょう。雁木はもともと一軒では成り立たないものですが、コーナーに設ける事によりニ方向に広がり街並みに花を添えてくれます。
車庫と住宅を『つなぐ』基本的機能を有した雁木は、敷地が角地のために街並みを『つなぐ』機能をも有することになってくれたのです。
また敷地のコーナーをぐるりと囲む雁木は、閉鎖的な境界塀とは異なり、視覚上はかなりの広がり感を期待できることになりました。願わくば、街角のオープンギャラリーとしても活用されたら、一層楽しい空間になってくれることでしょう。
雪国から無くなりつつある雁木は今静かに進化しているのです。

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