高田清太郎ブログ

NO.19 「雪国の風景②」・・・・荷重を分散させる構造



エッセイ

「今年は大雪?」ー。晩秋から始まる雪談議は、冬のあいさつ代わりにもなっています。雪の多少は経済活動にもさまざまに影響してくるだけに予想の的 中度は深刻です。毎年の雪による災害、苦労は並大抵ではありません。中でも「雪下ろし」は一代行事です。近年、克雪に対する取り組みはめざましく、屋根雪 の処理対策には自然滑落雪型、融雪型、耐雪型、さらにそれらを組み合わせた方法などさまざまに提案されています。
「家を建てると転勤させられる」というジンクスを抱える銀行マンのOさんから、建築のお話を頂いたのは、今から十五年前になります。当時は、屋根雪処理にも今より深刻だったような気がします。「ともかく毎週日曜には帰ってくるの

で、一週間だけでも雪荷重に耐えられる木造の家を作ってもらいたい」という依頼でした。耐雪型といえば鉄骨造りか鉄筋コンクリート造りと相場が決まっていましたし、木造での実例はゼロに等しかったのです。というのも、雪荷重が建築基準法に重大な影響を及ぼすからです。
そこで、知っているようで知らないのが雪の重さです。雪にもさまざまで、新雪と、ざらめ雪でかなり差があります。多雪地帯の本県では建築の設計をするとき に一立方メートル当たり三百キログラムで計算するように指導されていますが、あらためて雪の重さを量ると軽い雪、湿っぽい雪は、平均で三百七十キログラム もあったのです。重い雪だけ量るとなんと六百キログラムをオーバーしていたのです。びっくりもし慌ても致しました。基準荷重で計算しても屋根面積が三十坪 (百平方メートル)で二メートルの積雪荷重は、六十トンもあることになります。なんと元大関の小錦関(二百五十キログラム)が二百四十人も屋根の上に載っ ていることになります。まさに絶句!そこで試行錯誤、柱のめり込み実験などを経て、5間×5間の正方形プランの木造耐雪住宅が完成したのです。十六本の五 寸角通し柱をグリッド状に配置し、屋根雪荷重を均等に分散させ、二メートルの積雪に耐える構造です。非常時に備え、梁(はり)には重量を感知するセンサー を設置。また、ちょうどおけに、たがをかけたようにはりを四隅から登りばり形式にし、地震にも対応できるように計画されています。バランスの良い建築構造 から「やじろべえ住宅」とネーミングすることにしたのです。
月夜の晩、ぽってりつもった屋根の雪がシルエットに描き出されたとき、長く寒い雪国の風景が妙に温かでもあるのです。やじろべえ住宅は、耐雪工法という構造的ハードをカバーするのみならず、雪国の情緒ある風景づくりにも一役買っている建築工法でもあります。