高田清太郎ブログ

NO.2 「狭小敷地に建てる」・・・・発想を変え「街全体が家」



エッセイ

家を建てる場合、土地選びには、かなりのエネルギーを使います。地価が下がっても、市街地や住宅地の地価は庶民にはまだ高く、ゆったりした敷地は夢 のまた夢。親から受け継いだ狭い土地や、変形敷地に建てざるを得ない場合も多いと思います。 もし、わずか6坪(19、8㎡)しか土地がなく、しかも変形三角地だったらどうでしょう。「無理!」という人が多いでしょうが、東京都のA氏の好実例を紹 介しましょう。 A氏は「家に住む」から「都市環境に住む」と発想を変えました。 幸い(?)渋谷区神宮前と、都会のど真ん中だったため、容積率(400%)と建ぺい率(60%)を目いっぱい使い、地下一階地上5階の家を建てたのです。 地階は9畳の書庫と階段。1階は車庫 と玄関。

2階は7畳のリビング・キッチン。中3階は7畳の寝室。4階は屋上テラス付き、5畳の子供室。これは、35年前の建築例。「塔の家」と名付けられて 地域のシンボル性も高く、建築界に話題をもたらしました。何も一軒の家で機能を完結する必要はない。周辺の街全体を家と考えて、道路は廊下、レストランは みんなの食堂、喫茶店は書斎、銭湯は大きなバスルーム。発想を変えれば、便利で豊かになります。一方、長岡市のK氏の場合は19坪(62、7㎡)の狭い土 地でした。当初、広い郊外に出ようと考えたのですが、この話に勇気付けられ、最終的に現地で建て替えを決心しました。幸い、建ぺい率80%地域だったの で、1階の建坪は15坪(49、5㎡)が可能。容積率は200%で、延べ面積は38坪まで可能でした。車庫面積の特典を考慮すると、総3階建て、延べ45 坪(148、5㎡)が建てられる、と話して計画に取りかかりました。1階に車庫併設の玄関ホール、バス・サニタリー。2階はトイレと洗面、家族全員が集う 20畳のワンルームLDK。3階は8畳の主寝室と6畳の子供室、3畳の書斎を配置。幸い、隣家の庭に面していたので圧迫感もなく、市街地型の住まいが誕生 しました。このようにちょっと考え方を変え、知恵を働かせるだけで、狭い土地でも心豊かな楽しい生活ができます。土地も地球の大切な資源の一つ。住み慣れ た土地を狭いという理由だけで簡単にあきらめないでください。家は小さく生んで、大きく育てましょう。