高田清太郎ブログ

NO.48 「楽しい空間づくり」・・・・さまざまな思いが原点



エッセイ

新潟市役所開発建築部の建築住宅課の主催で「住まいづくり教室」が4年前から開催されています。そもそも美しい街づくりをすることから、出発したら しいのですが、地域単位ではなかなか難しい。そこで、まず各個人の住まいづくりのお手伝いをするところから…ということでこの企画が始まったということで す。
私の担当講座名は「楽しい空間づくりとくふう様々」。担当の方から、いろいろな人たちに「高田は、面白いものを造っているよ」という紹介があった。というおだてにのり…。ついOKの返事をしてしまいました。
私どもがお手伝いさせていただいた住まいが、楽しい、面白いといわれるので、改めて「楽しい」「面白い」とは何なのか?考える良い機会が与えられた次第です。

まず、楽しいという字を分解すると「白」と「木」と「点々」に分解することができます。これは白木に人たちが集まっている状態、つまり自然のままの姿といってよいでしょう。ポイントは「白」です。
面白いは、「面が白い」英語では「インタレスティング」。インターは「間」で、レストは「休む、眠る」です。勝手な解釈ですが、「何もしない休息の状態」 と考えてはどうでしょう。世阿弥が言いました「せぬ事こそ面白きや」空白の状態、心を空にするときこそ面白い。やはりポイントは白です。つまり「白」はさ まざまなことが行われる可能性を秘めているステージなのです。
私たちが、お手伝いさせていただいた家が楽しいとしたら、それは建築主の住まい方に個性があるからです。またそれを、オリジナルレベルで精一杯に引き出そうとする、まさに建築主と私たちの協奏曲といってよいかもしれません。
住まいづくりは人生の一大事業です。迷い苦しみもいっぱい。それでもあえて「世界に一つしかないわが家」を造るわけです。
その極意は出来あがった形ばかりではなく、むしろ造っていく過程にこそ楽しみと面白さが隠されているといってよいのです。
私たちはできた形に住むのではなく、さまざまな思いのうちにすでに住み始めているのです。これが楽しい住まいづくり、面白い空間づくりの原点かもしれません。