高田清太郎ブログ

流行と不易



エッセイ

時代はめまぐるしく変化し、豊かさの尺度も時代と共に変わりその中で本物の豊かさを追求している。 尺度は相対性をおび、時代と共に変わるもの「流行」と変わらないもの「不易」がある。 今一歩進めて、変わらなければならない尺度(技術革新に伴う道具、材料)と同時に変わってはならない 尺度(個性、想い)があります。その節目節目をふりかえると様々なスタイルが展開されその時代は 流行という大義名分を残しもします。「これでもか?これでもか?」と言った次から次への情報が 入ってくる。本当にためになる情報から、的外れな情報、果てには呼び水役にかり出された宝くじ性 をおびたバーゲンセール情報「あーでもない。こーでもない」集まった情報で時に消化不良を起こしてしまい がちな情報過多・・・。果てに肩こり、めまい、最後に「エイッヤー」・・・。 豊かなすまいづくりを望むなら常に自己の想いを大切ににして、すまいづくりの中心に据えることです。 第一歩は我家にあった我家だけの個性を大切にしたすまいづくりから・・・。 「カニは甲羅に似せて穴を掘る」と言う諺があります。この諺はこれから住まいづくりをする私たちに 一つのしかも強烈なヒントを与えてくれます。 他から借り物でない又、既製服でない、我が家のスタイルに合った、住まいづくりを示唆してくれています。 住まいづくりは単なる箱づくりではなく、家族にとって大切な生命を育む舞の場と考えております。 包まれる生命の営みと包む器が一体となってはじめて満足のいく巣舞を手にする事が出来るのです。 決して「穴に似せてカニは甲羅をつくる」とは言わないのです。先日東京から転勤されてきたA子さんが、 我家を建てようと決心した時点では”オリジナルがいい“”手づくりがいい“と注文住宅をめざそうと なさって、食卓に夢をふくらませていたのに、いざ出発となると車を買う時のようにカタログでプラン選びしている 自分の矛盾した姿に気がついたとおっしゃっていました。とても意味深長なお話です。 豊かな巣舞づくり・・・それは流行に流されるのではなく、しっかりと我家のあり方、想い、我家だけの 舞をじっくり見直す事からはじめましょう。そして、人はできた器の中ではなく、人がつくって行く課程の中に、 そして、想いのうちにすでにすみはじめているのです。豊かなすまい  個性あるすまい