高田清太郎ブログ

士魂商才



エッセイ

長岡と近代日本社会のリーダーたち―激動の時代に生きた実業家の企業家精神を学ぶ

秋の深まりと共にます「歴史を学ぶ楽しさ!」
13日(金)18;00~21:00:長岡商工会議所で「長岡と近代日本社会のリーダーたち」と題して講演会が有りました。副題として「激動の時代に生きた実業家の企業家精神を学ぶ」と言うものでした。明治期の偉人・豪傑:渋沢栄一・福沢諭吉・大隈重信と長岡の関係について言及しようとするものでした。
第一回目の全国行脚が、長岡商工会議所で開催されたわけは、長岡の米百俵精神があるからとご案内。武士は食わねど高楊枝!と言えども武士も人の子:背に腹は替えられぬ。空腹には替えられない。余った米ではない。ひもじい時に三根山藩から贈られて来たお米を小林虎三郎は配給しないでそれを元手に国漢学校をつくろう!と言うものであった。当然、配給を詰め寄る家臣たち。がんと意志を曲げない、正に命を懸けて将来のために必要なのは教育であると説得する小林寅三郎。・・・・・長岡には元々このような素地があった。
司会は渋沢栄一記念財団研究部部長の木村昌人さんであった。シンポジウムのトップバッターは、松本和明長岡大学経済経営学部准教授から「問題提起にかえて!」と題して偉人3人のご紹介があった。その後3名のパネラーから、明治期の偉人・豪傑たちの個性・キャラクターを交えて偉業についてお話があった。
渋沢栄一:日本の資本主義の父    :島田昌和(文京学院大学経営学部教授)
:夢想家を大切にする。世代間・地域間交流を推進。「論語とソロバン
福沢諭吉:教育者・慶応義塾大学創設者:西澤直子(慶應義塾福澤研究センター准教授):
:自分達の力で社会を変えたい:一身独立:独立自尊:反骨精神
大隈重信:政治家・早稲田大学創設者 :五百旗頭薫(東京大学社会科学研究所准教授)
:統一国家;外国とは対等関係:
明治は朝令暮改の歴史・それに対抗する精神風土を作っている
飼い犬の名前が「いぬ」であるからおかしい。
共通していることは:
① 長期ビジョンを持っている。
② 自分の資財を使って公共に役立てている。Ex:学校を創る。寄付金の比較:アメリカ人は年間に一人当たり8万円寄付するのに対して、日本人は年間に一人当たり1,700円であるという。
③ 士魂商才(拝金主義ではなく):
渋沢栄一の「論語とソロバン」:・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
日本人にとって、とても大切な精神風土は武士的精神である。しかし、精神論だけでは人たちは食って行くことができない。もう一方に商業的センスが必要であり、その両方を共存させることこそ肝要である。健康な肉体に健康な精神が宿る!まさに。一方方向だけに大きく振れてバランスが崩れると無理が生じる。無理が生じれば道理が引っ込む。自滅である。然るに、士魂にして商才が無ければならない。士魂も商才も育てる方法の一つに論語がある。商才は小手先のことでは無く道徳的土俵の上でこそ育つものと言っていい。近年コンプライアンスが大切!とまるで新しき道徳のように言われているが、論語では数千年前から言われていることでもある。現代はソロバンから電卓に替わったからソロバンは必要ないと!言う人がいるかも知れないが、ソロバンは単なるソロバンを言っているのではない。丁度、ソロバン2級と簿記1級を持っている私に商才はあるかと言うとそう単純なことではないのと同じである。商才はセンス(喜ぶものと一緒に喜び、悲しむものと一緒に悲しむ共振)である。人生練磨である。
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長岡商業高等学校の校歌に士魂商才なる歌詞が添えられている。閉会時に長岡商工会議所の樋口専務理事からその商業学校の資料が島田先生に渡される。校歌〔旧〕第2番に・・・・・・・・・北にそびゆる弥彦山、西に流るる信濃川、山は揺るがぬ士魂にて、水は淀まぬ商才ぞ!とある。明治の偉人達は長岡に銀行を作るに助言したり、北越製紙の設立のきっかけ。JR信越線の設立に力添えされている。最後に問題提起者の松本和明長岡大学准教授よりこれからは「自分達で知恵を出し、汗だし、金を出す」ことが求められている。「若者・よそ者・馬鹿者(夢を追う馬鹿が必要の時代!駄目な馬鹿では無く、いい意味の馬鹿!)」をもう一度見直す時代が到来している。とは参加者に意味深長であった。

・校歌
作詞 元校長 大山 登
作曲 元教諭 野津 雲越
1.煤煙迷い吹雪ちる 兜城城下のただ中に
時は明治の四十三 商神天降り宮造る
2.北にそびゆる弥彦山 西に流るる信濃川
山はゆるがぬ士魂にて 水は淀まぬ商才ぞ
3.商機戦略異なれど 勇む心ぞ分ちなき
謙信蒼龍それ以来 北越男子の意気高し
4.忠孝信愛身に守り 学びの業をいそしみて
富国の大任にないつつ やがて尽さむ世の為に

 
会場は熱気であふれていた 長岡魂の再生に聞き耳を!!