高田清太郎ブログ

まちかど美術館は若きアーティストの登竜門?



エッセイ

まちかど美術館は青空美術館:小さなアーティスト達の発表舞台になることを期待して!

2011/10/08(土)は晴れあがった。前日までの雨がすっかりと晴れあがり街角に作品群がたくさん展示された。雨と寒さが続いただけに屋外美術館は晴れやかな舞台になった。
青空美術館である。雨が降れば大変なことになる。雁木のある処だけになると1か所に数作品が重なり一つ一つの作品を楽しむことが削がれてしまう。天気あっての青空美術館でもある。
この日は摂田屋おっここ市である。毎年10月の第一土曜日に開催される米百俵祭り(会場は長岡市大手通)と連動しての開催である。今年は第二土曜日に変更になったが多くの方が足を運んでくださった。イベントごとに思うことであるが、入場者の数が成功のバロメーターのひとつでもある。
主催者側の発表では1万人(毎年そういうことにしておく?)だと言っていた。
私もオープン前の会場準備中と午前中と午後から三回出かけてきた。午後の三回目は孫娘と一緒であったから私自身にとっては余計に賑わいが出た。

   サー展示するぞ!展示を楽しむスタッフたち!    親子で展示場所探し!           どうだこんなでいいかな?
  
宮内駅前交差点に設置された!         交差点から摂田屋方面を眺む!  宮内駅前交差点から駅を眺む!

二年前までは我が社もブースを持って参加していたのであるが、秋山孝ポスター美術館がオープンしてからは美術館周辺を守備範囲とすることにした。核を拡げることでまちづくりも拡がるからである。宮内・摂田屋の町おこしも「点から線・そして面へ!」の拡がりを期待している。JR宮内駅前から歩いてくる人々におっここ市会場までの途中に位置する美術館でアートを楽しんでもらおうと言う趣向である。椅子も用意し休息もとってもらえる設えである。
            
秋山隆ポスター美術館長岡を中心に展示されるマイタワーたち:そして説明する若き学芸員たち!

  
レトロの風情を残すワタナベ床屋さん!  歩道におかれた作品たち!

 思わず立止まってしまう!

そして今年は宮内駅前から秋山孝ポスター美術館長岡までの商店街の歩道を利用してまちかど美術館をオープンしたのである。指導教員は上組小学校の先生方(長谷川先生・富樫先生・二宮先生と当日の目黒研修先生)である。弊社の切込隊は平沢君であった。
若い作家達は上組小学校六年生の児童さんたち。制作共通テーマは「12歳のマイタワー」である。小学校6年生は12歳:生まれてから本日までの記憶とこれからの目標に対する思いを形にすることにしたと長谷川先生から聞いていた。
以前のブログで紹介した様に弊社タカモク工場(高田建築事務所プレカット部門・資材部門・大工部門)で端材を使って作品作りに励んでいた。工場では完成できなかったが学校に帰って家庭科工作室に持ち込み完成をさせ色付けまでしたのである。(粗木に着色は結構難しいが、その割にうまく着色されていた)
私が完成作品と再会したのは展示日当日である。家庭科室にずらりと並べられた作品はどれも完成度が高く思わず、唸ってしまった。出来た~!であった。
オープン時間は10:00AM~3:00PMである。大変短時間の展示生命であったがそれだけに伝えるエネルギーが伝わってくる事も一目で確信した。
準備は若きアーティスト達と父兄の手をお借りして上組小学校の先生と弊社スタッフとで始まった。
作品も多く配置には時間がかかる。7:30AM集合であった。終わったのは 丁度2時間後の9:30AMであった。もうすでに会場に足を運ぶ人々がちらほらと始まっている。
97作品は並ぶと圧巻である。商店街歩道に並べていると商店街の皆様から声援を頂いた。勿論、普段も花壇等で町をアッピールして下さっていたのであるが、「12歳のマイタワー」が配置されると作品達とコラボして今までと一味違った、とても華やいだ空間を創造してくれた。
参加者の皆様お疲れ様でした。この趣向が今年1年で終わらないでほしいと思った。反省会では毎年が無理ならビエンナーレでもトリエンナーレでも良いから是非とも継続していきたいと言う思いが確認された。Succeed is Success!

 
街角に出発前に並んだマイタワーたち! 打ち合わせする平沢君に長谷川先生

 
二宮先生は雨は大丈夫かと外を覗く! 富樫先生は一品一品チェックにかかる!

先立つこと一週間前の10月1日は秋山孝ポスター美術館長岡(APM)は衣替えである。
メッセージイラストレーションポスター展3の開催である。
7月から始まった秋山孝先生の作品展示から多摩美術大学院生の作品群へのバトンタッチである。閉館期間が10月31日であるから丁度1か月間である。今年も見ごたえのある作品群である。是非とも足を運んでほしい。
その日は3:00PMから第13回目のAPM大学校が開催された。
第13回目のテーマは「長岡におけるデザイン教育の歴史」についてであった。
そして今回のゲストは秋山孝先生の高校時代の恩師でいらっしゃる美術の木村保夫先生である。会の進行はいつもの様にゲストの木村先生からテーマに沿って基調講演を行って頂きその後、秋山先生との対談になる。
お話は長岡のデザイン教育に携わった指導者たちのレジュメ紹介から始まった。田代修一・吉田三郎・高田信重・小宮重吉・藤田かずひろ・大川民次郎各先生である。
そして新潟大学を卒業された大智浩先生・新潟県出身の亀倉雄策先生(東京オリンピックの公式ポスターの作者)の話に進み新潟県高等学校商業美術展にお話を続かせられた。
戦後の美術は純粋美術と職業美術(工業美術・商業美術)に分かれて進んだ。特にショーウィンドウの中でのポスター美術は先陣を切ったお話はとても興味深かった。
木村先生は私の高校時代の美術の先生でもある。先生の優しさに包まれた授業は印象的で、後に建築を志す私にとってはとてもためになった。
行楽の季節・お忙しい中お出かけくださり参加してくださった皆様には心から感謝いたします。大変有難うございました。
  
木村先生と秋山先生の対談!       講演後は記念撮影に決まっている!   先生お疲れ様でした。乾杯!

一年間に4回~5回の美術館大学校を開こうと言っていた。秋山先生の希望を後押ししてくださる方々にもただ感謝である。
前々回の12回美術館大学校は私がご尊敬申し上げている長岡造形大学理事長の豊口協先生であった。長岡祭りと重なって報告が遅れたが、今年の大学校を終講するに当たりご報告をさせていただくことにする。
豊口先生からは秋山孝ポスター美術館長岡の運営委員長にご就任に頂いている関係でもある。
(秋山ポスター美術館長岡のホームページを見ていただきたい)

第12回美術館大学
日  時:平成23年 8月 3日(水)15:00-16:30
場  所:秋山孝ポスター美術館長岡
講  師:豊口協氏(長岡造形大学理事長、APM運営委員会会長)
秋山孝氏(APM館長、多摩美術大学教授)
題  目:「夢を抱いて明日に希望を!」
参加者数:65名

1970年、日本で万国博覧会が開催された。戦後、高度経済成長を遂げ、経済大国となった日本にとって大きな意味を持つイベントである。
今回講演していただく豊口協氏は、万国博覧会(大阪万博)で電電公社のパビリオン建設に携わったという経験を持つ。美術館大学では「夢を抱いて明日に希望を!」という題目の下、そのときのお話を拝聴した。
豊口氏が関わった大阪万博での電電公社のパビリオンは電気通信館、テーマは「人間とコミュニケーション」であった。建物をいくつかの空間に分け、それぞれのコミュニケーションの形を展示することとなった。
最初の空間は、原始的なコミュニケーションの姿である母親と赤ん坊の関係を表した「赤ん坊の空間」とした。壁一面にテレビモニターを埋め込み、すべての画面に泣いている赤ん坊の映像を映す。「呼びかけの空間」では、天井から6,000個もの受話器をぶら下げた。その受話器からは各国の言葉が聞こえてくる。また、メインの広場では世界初の東京、京都、種子島を結んだ多元中継が連日行われ、人気を博していた。
豊口氏はこれらの企画だけでなく、展示や展示に関わるすべての業務に関わった。たとえば「赤ん坊の空間」では壁面に並ぶ大量のテレビモニターを調達しなければならない。赤ん坊を泣かす映像も撮らなくてはならない。「呼びかけの空間」では6,000個もの受話器を確保しなければならない。当時は広告代理店などもなく、限られた時間と予算の中、それらの交渉から撮影まですべて自分たちで行ったという。これらを30代のうちに経験できたことは大きな糧となったと豊口氏は語った。
秋山館長との対談では、「未来に対して大切なメッセージは?」との問いに対して「創る力と考える力が重要」と応じた。豊口氏が理事長を務める長岡造形大学では一般市民に「本格的なものづくり」を体験してもらおうと講座を用意している。自分の作ったものを介して人とコミュニケーションをとり、ものづくりの喜びを感じてほしいと開催しているものだ。「創る力と考える力」を育む環境を提供している。(APM職員森山女史からの報告)

     
豊口協先生の講演会に熱心に聞き入る聴講生!                 豊口先生と秋山先生の対談も大変ためになった。

弊社スタッフの思い入れの強い平沢君のリポート!
  
おっここ市会場は一夜城ならぬ、一朝城! ステージ前で一休み!     CAT(商業・農業・工業)高校の学生達コーナー
 
星野本店(味噌・醤油製造)の3階建て蔵前は長岡造形大学の生徒の展示されてた。