高田清太郎ブログ

今年の雪の重さが570kg/㎥あった。(比重0.5を超える)倒壊家屋が続出した。



エッセイ

すまいは巣舞
巣は形・舞は想い
想いを形に
巣舞るフォー・ユー
高田建築事務所

 

 

*    建築業界では残念であるが又々設計・施工上の不祥事が発覚した。
・    建築を学ぶ学生は世界的には芸術学部に所属している。しかし、日本では一部を除いて多くの大学では理工学部に属している。
・    アート系(芸術学部)とテクノロジー系(工学部)の違いである。

・    人類史上最古の「建築書」はローマの初代皇帝アウグストゥス(BC63~AD14)に向けて書かれたと言われている。著者はローマの建築史家であるヴィトルヴィウスである。
・    そのヴィトルヴィウスは「建築は強・用・美の総合芸術である」と言い切った。
・    一般の芸術作品(絵画等)と建築物は重力下世界では全く違った位置に属する。
・    建築に要求される「強」は人命を守るために最低限補償されなければならない。
・    日本の建築業界では地震大国日本は自然災害が多いのでまず工学からの導入だったといわれると誰もがうなずけるのである。しかし、だからこそ、用・美も忘れてはならないことと皆で自戒するものでもありたい。
・    構造計算偽造事件は有ってはならない不祥事である。
・    よりレベルの高い安全性が追求される為に新しい技術が付加されることもしばしばである。この度、発覚した免震工法偽造データは採用構造設計者サイドでも発見できない範疇であるとも聞いている。
・    建築は重力にも対応するほかにも様々な荷重に対応しなければならない。新しいデザインをしようとするときには構造的視点から目をそらすことは出来ない。

*    もっとも原始的な荷重に雪荷重がある。想定した積雪荷重をオーバーすればそれなりにトラブルが生じることになる。
・    想定外はどの世界でもある。
・    今年の冬の雪の重さ:密度においてかなりの想定を超えていたようである。報告書によれば1㎡あたり500kg以上計測された地域が多くあったと!
・    一般木造の雪荷重を1.5m積雪深で換算して雪の重さ!315kg(多雪地域では比重0.3を想定する建築基準法上のルールがああり、1.5mは450kg。それに対して常時荷重は0.7掛けでよいルール)で考えて設計しているのでは間に合わないことになっている。
・    結果、多くの家屋に被害を及ぼしたのである。
・    問題は積雪深表示で安全を確保しようと言うのこそ問題である。積雪荷重であることを今年の雪は教えてくれた。

*    今から、30年も前に弊社で開発した雪下ろしセンサーは雪荷重の重さから生じる部材のたわみを読み取り警報を鳴らすセンサーである。
・    一生懸命開発した翌年から小雪になってニーズがなくなったことを思い出す。
・    結果として全3個しか売れなかったのだから開発費の回収もできなかったのは言うまでも無いことである。しかし、充実した研究開発期間であったことを今でも想いだす。
・    先日、巣舞づくり:建築を要望されるお客様に弊社スタッフが雪下ろしセンサーンのお話をすると採用したい意向が届いた。

・    しかし、もう資料がお払い箱で製作してくれた精密機械会社S社さんからは製作中止の連絡を頂いた。もう一度ソフトから再生するとなるとかなりの経費がかかるとの事であった。
・   開発と同時に小雪では費用対効果はかなりのダウンである。そこで、 新バージョンは原始的な方法でたわみ寸法を読み取ることで対応しようとしている。原理は同じだがオートでないことが問題であるだけで、積雪は降ったとき・積もった時のみ確認するだけでいいからである。
・    原始的手法が意外に当たらしバージョンなのかも知れない好事例である。

*    同じように、様々な工法を見直すことによって現在におけるニーズにもお答えすることになるのでは?と!宝をもう一度掘りなおすことにした。

 

 


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