高田清太郎ブログ

木村保夫展「時たちの交差」が開催中



イベント

すまいは巣舞
巣は形・舞は想い
想いを形に
巣舞るフォー・ユー
高田建築事務所

*    20160618(土)木村保夫展「時たちの交差」+祝う会に参加。
・    木村先生は私の高校時代の美術の先生である。
・    木村先生は当社の築縁様であり、長岡のご自宅やその他工事のご用命も頂いている。
・    長岡花火をテーマにした映画「この空の花」では、ご自宅はアトリエ付きシーンとして大林宣彦監督によって一場面採用されたと聞いた。
・  木村先生は世界的グラフィックデザイナーとして活躍している秋山孝先生兄弟(2年前に兄さんは他界)の生みの親でもある。APM(秋山孝ポスター美術館長岡)の設立にもご協力頂き感謝である。
・    とても温厚なお人柄で、人を分け隔て無く優しく穏やかに対応してくださっている。
・    平和を一つのテーマに今でも挑戦し続けておられる先生は今年82歳である。
・    今回の個展のタイトルは「時たちの交差」
・    原点は先生が小学6年生のときに出会った長岡空襲のときの被災風景!作品:老婆慟哭にはその時の思いが強烈に描かれている。
・    世界平和のメッセージをレアリズムの世界から近年ではシュールレアリズムの世界で発信し続けられている。
・    グラフィックデザインにおけるメタファーな表現は、私達にも大きな影響を与えてくれた。
・    この度の個展ご招待案内文には「多感な少年期を第二次大戦下で過ごし、以来厳しい姿勢で時代の変遷を見つめ続け、多くの作品に投影させ、鑑賞者には深い感動を覚えるものであります」とかかれていた。
・    美術の先生で絵にこれほど強いメッセージを残されているのは、一般の美術部と商業美術部を同時に手がけられて来たからで、稀な位置におられることになる。

*    開場式はPM3:00から開会:約一時間に渡って今まで手がけて来た代表作100点近くの説明をしていただいたので、余計に絵の魅力が増してきたことは否めない。
・    先生は画家としての60年間に描かれた作品を6つの期に分けて表現されていた。
序章
第Ⅰ章:石の文明
第Ⅱ章:文明対比
第Ⅲ章:予感
第Ⅳ章:戦禍
第Ⅴ章:共存の夢

序章
・    自分でミシンかけてキャンバスを作った世界からの出発
・    学生時代はレンブラントの自画像に魅せられて自画像を描いた
・    蹲る(うずくまる):1959年(25歳)一陽展にて初入選:(エンジン始動?)

第Ⅰ章:石の文明
・    イタリアの石の文化に魅せられて描き続ける。
・    時の権力が作った万里の長城は現代では観光地。観光客が置き忘れたシャツを描くことで時代が織り成すギャップ。正に時の交差が発信する強烈なメッセージ

第Ⅱ章:文明対比
・    トルコはじめ中東アジア地方に魅了されアヤソフィアの復活を描く。又、望郷のペルガモンはとても魅力的だ。かつての栄華を誇った文明が今ではその時代の面影すら忘れさせようとしている。
・    絵を見ていてとても変だ!三橋美智也の歌音が流れてくる。「古城」だ。
1 松風騒ぐ 丘の上 古城よ独り 何偲ぶ 栄華の夢を 胸に追い ああ 仰げば侘し 天守閣
2 崩れしままの 石垣に 哀れを誘う 病葉や 矢弾のあとの ここかしこ ああ 往古を語る 大手門
3 甍は青く 苔むして 古城よ独り 何偲ぶ たたずみおれば 身にしみて ああ 空行く雁の 声悲し

④    Ⅲ章:予感
・    正確には「恐怖の予感」である。米国は相手のレーダーには発見され難いステルス機を開発。忍者のように相手から発見されず敵の頭上で核爆弾を投下できる全翼型三角形のステルス爆撃機の機影を描くことで緊張感のある画面構成をシュールレアリズムの手法で人類滅亡の予見をする。
・    ステルス機をトルコ・カッパドキアの遺跡や多くの遺跡風景と組み合わせることで時たちの交差が語りかけるものをテーゼとしている。

⑤    Ⅳ章:戦禍
・     テーマ:時たちの交差:原点は先生が小学6年生の時に出会った長岡空襲のときの風景が強烈に描かれている。
・    作品「老婆慟哭」は長岡に嫁にやったお陰で娘が焼夷弾で焼け死んでしまった老婆の強烈な悲壮が描かれている。

⑥    Ⅴ章:共存の夢
・    火焔土器とステルス機の組合せや朱鷺とステルス機を組み合わせることで、戦争がもたらす無味乾燥かした世界へのバックギアーを断ち切ろうとしている。
・    そして何よりも、殺人鬼であるステルス機が人間の顔にメタモルフォーゼし始めるのである。
・    ステルス機も人間になりたいというおもいを表現しようとしているのは、先生が追求する平和へのメタファーでもある。
・    人間と文化そして自然世界とのせめぎあいが平和への祈りとなっているのである。

*    木村保夫展
・    会期:2016年6月18日(土)~23日(木)AM9:30~PM6:00(最終日はPM4:00)
・    会場:長岡中央図書館2階美術センター
(長岡市学校町1-2-2:TEL0258-332-0658)
・    入場無料