社長ブログ

「見る、見られるの関係 ~HAKKO trip~」



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朝は肌寒い日が続き、近くの木々も色を変え紅葉の季節を迎えています。
先日、長岡市が主催するHAKKO tripが開催されました。長岡駅前エリアと宮内駅前から摂田屋界隈のエリア(写真)がところどころ歩行者天国になり、様々なお店が出展し賑わいが生まれました。蔵ジャズの音楽イベントも同日6会場で開催され、様々な場所から音楽が聞こえる一日でもあります。
今年施工をお手伝いさせていただいた江口だんご摂田屋店様も賑わっておりました。こちらでは焼きたてのみたらし団子を食べることができますが、出来立ての柔らかさとほのかにする炭の香りが、今までの団子の概念を覆すおいしさに毎回感動します。

この日は瞬間的に人口密度が上がり、地域に普段とは違う景色があらわれ、人々の往来する姿を目にすることで賑わいを感じます。よく建築でも「見る、見られる」関係がテーマになり、人の活動を他の人が見ることで触発されていくことはよくあります。人混みを見ることで活気を感じ、その人混みの一員になることで感じる高揚感。
長岡花火でも似た体験をします。河川敷で座っている席の横を見渡したときに目にする人の数。さらに信濃川の対岸の観客数を見てこれだけの人が一緒に花火鑑賞するのかと高揚感を感じるのではないでしょうか。

まちという大きなくくりだけではなく、アオーレ長岡のような建築にも「見る、見られる」関係のデザインを感じ取れます。大きなナカドマ空間にところどころ人が集まれるテーブルやベンチが階をまたいで立体的に点在しています。イベントがある日は渡り廊下から賑わいを目にしたときはとても刺激的です。

住宅規模でもそのような関係が生まれるか考えてみたのですが、スキップフロアが同じようなニュアンスを含んでいるように思います。
段差を境にあちら側とこちら側の領域が、それぞれを「見る、見られる」関係をうみます。
あちらと、こちらをつくるわけですので、機能の独立性がスキップフロアの肝にも思えます。視線の高さが異なるつながり方にもちろん面白さがありますが、それぞれの独立性が前提としてあるのではないでしょうか。

例えばスキップフロアに同じ機能がつながった場合をイメージしてみます。リビングの段差を上がったところもリビングだったとき、低いリビングに座卓、上のリビングにこたつがある場合、変化が乏しいかもしれません。
一方、低いリビングにソファーなど腰掛けるエリア、上のリビングにこたつなど床に座るエリアにすると、目線の高さにメリハリがつきより変化が生まれます。
あるいはフロアのレベルを変えるごとに、リビング、ダイニング、書斎など機能自体が変わっていくと、よりダイナミックさを感じていきます。これはフロアごとに機能を独立させているからころ、多様な空間が点在する賑やかさのようなものが生まれるのではないでしょうか。

これはスキップフロアがもつ面白さの一面にすぎないと思いますが、今回HAKKO tripのまちの賑わいから、スキップフロアまで思いを巡らせる楽しい時間を過ごすことができました。