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【築縁様インタビュー】私達のプライド


築縁様インタビュー

アーキテクチャー達の棲み処
私達のプライド

壁付けの造作キッチン

 

 

【DATA】
敷地面積:70.34坪
延床面積:36.38坪  ※車庫含む
2021年竣工
新潟市西区 O様邸|ご夫婦
※住まいnet新潟Vol.36(2023年)掲載記事より抜粋しています。


 

大学で建築を学んでいたOさんが、家を建てることになった。二人目の誕生が見えて、アパートに手狭さを感じたことも動機だったが、仕事でも建築に関わり続け「いつかは家を建てたい」と思っていたという。さて、どこを選ぶのか。Oさんはほとんど迷うことなく、そして、他社と比べることなく高田建築事務所に決めた。同級生がいたこともあったが、何より「自由にやらせてくれそう」というイメージを持っていたからだった。「できれば最初から最後まで、自分でやりたかった。設計者の色を感じる住まいではなく、自分たちの色を感じる住まいにしたかった」。

土地を選ぶところから、Oさんの建築知識が生かされた。1mほどの高低差のある傾斜地。人気のエリアだが、土地の形も分からないほど草に埋もれていた。クセゆえに、売れ残っていたと分かったが、ただ、Oさんの目には「何とかなりそう」、もっと言えば「おもしろくなりそう」と見えた。

大屋根の外観

坂道の途中に片流れの屋根の箱。印象的な外観を見つつ室内に入ると、傾斜を生かした間取りに、いくつかの「斜め」が配されていた。

まず、玄関ホールとLDKを仕切る壁。リビングに入って階段を半地下に下ると、階段と傍らの壁も斜め、そして階段を上り切ったところの斜めに振られ、小屋裏収納につながっている。

玄関のシューズ棚 スキップフロアをつなぐスチール階段

海は敷地に対して斜めの方向にあった。さらに、敷地に対して正対すると、常にお隣を見ながら暮らさなければならなかった。そこで、LDKの外に、中庭を斜めに差し込み、視線が自然と斜めを向くように操作された。

大屋根に包み込まれたLDK

当初、Oさんが伝えた条件は、「斜めを生かす」以外に3つあった。
リビングと一体化する明るいキッチン。2つのこども部屋。空間に緩急をつけること。
提示された設計図にOさんは、「なるほど。うまく納めてくれた」と感心したという。

引っ越して1年。お子さんの友だちが来ると、高低差は魅力的な遊び場になる。かくれんぼをしたり、飛び降りたり、駆け上がったり。

ことさら、奇抜な設計にしているわけではない。敷地に対しては素直に、高低差に倣いつつ、室内の壁だけ斜めに振って。その小さなアイデアが、暮らしの中に大いなる遊びと余白を生んでいる。設計の奥行きを、静かに教えてくれる家だ。

籠れるリビング 海に視線が抜けるマド

寝室

●「私達のプライド」住まいの実績写真は こちら から