高田清太郎ブログ

Q値だけでは窮地に!



建築/巣舞.間知.趣舞

Q値だけでは窮地に!

* 私達の周りには沢山の数字が飛び交っている。
健康診断の季節でもある。体重計に載って、身長を測り、視力検査する。この年になるとほとんど変化はない。
尤も絶対数値はなくその方にあったバランス数値があるのであろうが。
血圧を測り、血液検査、レントゲンと診断はつづく。
そして後日に診断表が届く。基準値範囲と自分の検査結果数字が並べられている。
その比較は大切なバロメータであるが、それよりも何よりも昨年の或いは前回の診断数値との比較がとても重要である。
基準値よりも離れていたとしても前回診断表の数値より基準数値に近づいていれば良しとしたい。(と勝手に自分だけに通じる基準を設けている)
建築にも性能数値が数限りなく用いられる。第三者的に評価されて安心したいからである。
その一つにQ値なるものがある。
室内と外との温度差が1度ある時、家全体から逃げる熱量(ワット)を床面積(平方メートル)で割った数値。値が小さいほど暖房した熱や冷房した冷気を外に逃がしにくくなるので、省エネで快適な家(住宅の断熱性能が高い)になる!と言うことである。
Q値はどの位ですか?次世代省エネルギー基準ではその数字を2.4(長岡は3地域)とした。各社競争しながらの数値合戦が始まった。その競技は競技で大変結構なことである。
そもそも大前提として、地球温暖化の防止のために化石エネルギーが出すCO2の削減を図ろうと言うものである。省エネルギー問題からアプローチしたものである。
Q値が少なければ全ての建築性能が素晴らしく、快適に住めるかのように思っておられる方が一部においでである。(と言うよりも実態は住宅建築各社がQ値競争を仕掛けたと言った方が正しいかもしれない)建築・巣舞づくりは多角的に総合的視点から考察されなければならないのに、その人たちにとってはQ値は一点突破全面展開の様相を呈してきたと言っても過言ではない。極論であるがむしろ居心地がいいとは限らないのである。快適な居場所を求める人々にとってはもっともっと快適な居場所づくりが要求されてしかるべきである。
Q値を少なくするには断熱性能を上げ開口部を極力小さくする。そして外周面積が最小になる様にプランニングする。一例としてはプランは真四角で変形プランで凸凹を作らない。エンジンを冷却させるためにとられたラジエターデザインは決して避けなければならない。と言うことになる。
果たして四角四面の真四角プランの巣舞が過ごしやすいかと言えば必ずしもそうではない。
むしろ凹凸感や自由線が作る空間はとても豊かな空間になることも知っているからである。
また一方でQ値を少なくした住宅に住みながら生活習慣から窓を解放させてばかりいればその数字の意味が薄れてくることになる。
それでも昔の人達は冬でも窓を全解放して空気を入れ替えることで精神的にもとても快適な環境を作っていたのである。事実、我が家の83才のおふくろは長い間どんなに雪が降っていても朝は家中の窓を開け放って空気の入れ替えをしているのである。高気密もQ値もへったくりもないのである。
勿論Q値はとても重要なバロメーターである。それでも、Q値の事ばかり求めているとその巣舞づくりはまさに窮地に陥ることになる。
くれぐれもご用心を!

* 住まうことを歓びに。とタイトルされた町の工務店ネット(代表:小池一三氏から届いた情報)からの発信である。
サブタイトルに[びおエネルギー指針]の方向と骨格とあった。
* 次世代省エネルギー住宅を語る時には Q値(W/㎡・K)・・・熱損出係数が問われる。
室内と外との温度差が1度ある時、家全体から逃げる熱量(ワット)を床面積(平方メートル)で割った数値。値が小さいほど暖房した熱や冷房した冷気を外に逃がしにくくなるので、
省エネで快適な家(住宅の断熱性能が高い)になる!ということです。
家の中の温度差をなくしてヒートショックを防ぎたい!という方や、冬の寒さからくる足腰の痛みをどうにかしたい・・・といった方は、Q値の高い家の方が、暖冷房にかかる費用を抑えることができますので、月の出費を抑えて快適な生活が送れます。
では、どの程度光熱費が違うのか・・・それもQ値を比較することで簡単に計算することができます。厳密にいうと少し違いますが、Q値と暖冷房にかかるエネルギーは比例します。
たとえば、次世代省エネ基準を100とすると、1.13のI工務店は、約42となります。
どういう計算をしたかというと、2.7 : 1.13 = 100 : ?という算数です。
これに電気の単価を入れると、光熱費の比較にもなります。100kWの電気代は、2,400円。(24円/kWとすると)それが、42kWに下がるので、電気代が約1,000円になるということです。
つまり、Q値が小さい住宅ほど、「冷暖房の高熱費が安くなる」「必要なエネルギーが小さくなるので冷暖房機器が少なくてすみ、イニシャルコストが下がる」「家の中の温度差が小さくなる」などのメリットがあるのです。
*そしてもう一つの数値がC値(?/㎡)・・・隙間相当面積である。
施工の結果、建物にどれだけの隙間があるかを表し、気密性能を示す指標。C値が小さいほど、住宅の隙間が少ないので、隙間からの熱の出入りが少なく、断熱性能の高い家になる!
隙間の無い家なんて・・・といった方も多いと思います。ただ、今の家の場合、計画されていない隙間は、壁の中で結露が生じる原因になることもありかえって家を悪くすることも考えられます。隙間風が吹き抜ける中で暖房して生活することを納得できればいいのですが、
そういった方も少ないと思います。気密住宅は、窓を開けたらいけない!という訳ではありません。窓から入る風を上手に活かした間取りなども併せて考えれば、さらに省エネで快適な生活ができることでしょう。* Q値C値が求められるようになった前提に「次世代省エネルギー基準で求められる性能」がある。
次世代省エネルギー基準で定められる性能は、
・ 『部位別熱貫流率』
・ 各部位(壁や窓、天井や床など)の熱の伝えやすさを表わす『熱損失係数(Q値)』
・ 家全体の熱の逃げる割合を表わす『日射取得係数(μ値)』
・ 家全体に入ってくる日射の影響の割合を表わすがあります。
平成11年に定められた次世代省エネルギー基準では、家の隙間の大きさを表わす『気密性能(C値)』も決められた数値がありましたが、当然満たすべき数値として、平成21年に行われた省エネ基準改正によって表記がなくなりました。数値の表記はなくなりましたが、満たさなくてもいい訳ではなく、満たすべき性能であることに変わりはありません。
なお、次世代省エネ基準の基準値は各地域によって異なります。下の表で確認してみましょう。

NEDO ホームページより
ここで示す数字はすべて小さい方が家の性能が高くなります。
* ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・小池一三氏のコメントはつづく。
建物の断熱性能を
只今、とりまとめ作業中!
[びおエネルギー指針]は、住まうことを歓びに高めるために、そのベースとなる方向と骨格を示すものです。研究者・建築家・研究機関・町の工務店ネットを構成メンバーとする「検討委員会」が結成され、鋭意、作業が進められています。ここでは[びおエネルギー指針]が目指すもの、その骨格について述べます。
・ [びおエネルギー指針]Q値・μ値について
・ Q値(熱損失係数)は、壁や屋根、窓など部位ごとから熱が逃げる量を計算し、家の面積で割って求めます。値が小さいほど熱の逃げる量が少なくなることから分るように、寒さに対して目安となる値です。また、夏、暑くない家をつくるために、μ値(ミュー値・夏期日射取得係数)を求めます。μ値は、建物に侵入する日射量の総和を床面積で割って求めます。値が小さくなるほど冷房効率が高くなります。「びおエネルギー指針」では、Q値1.5以下〈省エネルギー達成率〉を目標とします。Ⅳ地域では1.2のダウンになります。かなり高い目標値です。またμ値については、日射侵入率に置き換え、夏季の日射侵入率を0.3以下、冬季は0.6以上を目標値とします。
・ オルターナティブほかに採り得る道はないのか?
・ しかし、このQ値を熱取得なしで達成しようとすると、過剰な断熱を強いることになりますまた、夏に具合の悪い日射侵入ですが、冬の日射は取り入れたいのです。そこでわたしたちは、コンピュータ・シミュレーションを道具にして、正確な熱計算を行うことにしました。打ち込めば回答してくれるプログラムです。
・ 20キロメッシュの気象データを取り揃え、建築材料の熱的データを情報化し、さらにさまざまな省エネ・創エネ・蓄エネ手法やアイテムを活かし、整合計算できるよう開発を進めています。
・ 「整いました!」といえる設計へ
・ 国の将来的な省エネ基準がどのようなものになるか、まだ判然としません。何となくエコを言うのではなく、今の段階において、将来、求められるであろう高い目標値を自らに課しつつ、同時に、自由な設計のためプログラムを手にしましょう。
・ ここに、屋根の勾配は2寸勾配でやりたい設計者がいたとします。ゼロ・エネルギー住宅の指針では、光発電は3寸勾配以上が示され、Yesかnoの判断が迫られます。
・ シミュレーションを行って、目標相当分を別の方法で満たし、謎掛け漫才よろしく「はい、整いました!」と言えるようにすればいいのです。 そのためのプログラム開発、マニュアルや講習会カリキュラムの作成を、鋭意、進めているところです。

* 「整いました!」と言えるための設計ポイント

➊「仕様規定」でなく、シミュレーション計算を基本とし、まずQ値計算を正確に行うこと。
➋熱損失だけでなく、熱取得技術を重視します。太陽熱利用(空気集熱式ソーラーや、ダイレクト・ヒートゲイン、クールチューブなどの手法を、設計段階でシミュレーションします。
➌住まいの熱容量(蓄熱・蓄冷)を重視し、それに合った材料(例=木の繊維断熱材など熱容
量を持った断熱材)を選択すること。
➍ベーパーバリア(防湿層=ポリエチレンフィルム)のない、むかしの民家のように湿気を透過する素材(例=ダイライト・モイス+珪藻土など)の熱的データを整備し、「呼吸する壁」といえるようにすること。
➎給湯は家庭用エネルギーの30%を占めています。機器としては、太陽熱温水器・ガス給湯器」 (潜熱回収型)を推奨。空気集熱を利用したパッシブ給湯については、メンテナンスを重視すること。
➏環境性能を公開すること。設計段階から、使用過程におけるエネルギー量(CO2発生量・光熱換気費用)を示すこと。「家カルテ」上にそのデータを記録して「家歴」情報化すること。webを通じて、これらの内容を公開すること。また、環境性能評価については、多面的な視点に立ち、グリーンポイントとして評価すること。
a.近くの山の木を用い、産地表示 トレーサビリティ・ウッドマイレージを表示すること。
b.木造の躯体にストックされるCO2を表示すること。
c.バイオマスボイラー利用による人口乾燥天然乾燥材を評価すること。
d.住まいの緑度を高め「一坪里山」による在来種の保存を評価すること。
e.薪ストーブ(ペレット)木質バイオマスエネルギー利用を評価すること。
➐設計ついては、部屋と部屋・部屋の上下温度差など室内の温熱環境を重視し、西日対
策・草屋根・緑のカーテン・緑のパーゴラ・落葉樹・防風林・庇・オーニング・多層建具・障子・断熱雨戸・昼光照明など環境設計を評価すること。
➑室内快適度を指標化します。快適性指標(不快指数・ETなど)を検討し、さらに気象の要素を加えた指標化を進めること。
➒住まいの省エネは、同じ仕様の建物でも、住まい手のライフスタイルによって異なることをユ
ーザーにアピールすること。

* さらに[地域エネルギー基準]作成へ
・ 日本は南北に長く、海流・入り江(湾・内海)
・ 山岳・盆地など、地域によって複雑な性格と性質を持っています。したがって、気候区分によるQ値など熱計算だけでは、必ずしも良い温熱環境の住宅は実現できません。
・ 地域の微気候・建築文化・建築材料などにもとづいた、よりきめ細かな対策を講じる必要があります。先端的な熱解析と共に、経験知も大切にされるべきです。都市部では期待しにくい通風も、有効なところもあります。窓をどこに設け、どこに抜くかも地域によって異なります。

 *リプチン森のサポートセンターはQ値重視に勝る居心地空間を求めた。
特養老の一室一室はまるで一軒の家のように配置された。
ラジエター効果は抜群!*隣接するグループホームは矩形平面でパンパンのボリューム感をつくり出してしまいそうであるが、大屋根で覆われた収容施設らしくならないようにするために大屋根を外壁面から浮き上がるように開口部を設置した。・立体的分割は壁面にも凹凸を作り開口部で切断することで住宅群の街並みをたいせつにした。